イケメン伯爵の契約結婚事情


「……俺は、この土地を汚したくない。毒で栄えた土地だなどど、言われたくはありません。本当に叔父上が毒花を売りに出しているというなら、俺はあなたを補佐役の立場から下ろし、この土地をはく奪します」


顔をあげたフリードにもう迷いはなかった。
世襲制だからではなく、この土地を愛するものとして、正しく治めていきたいとそう願ったのだ。


アルベルトはそんなフリードを眩しそうに見つめる。


「……青いな」

「青臭くても結構です。領主として宣言します。このデス・カマスは処分し、毒生成にかかわったものを皆処分します。叔父上も……例外ではありません」


しばしの沈黙の後、アルベルトは首を横に振った。


「……私は毒を作ってなどいない」

「嘘だ。だって今……!」

「あれは可能性の話だ。もし、毒を生成していたならどうする?と聞いただけだ。屋敷中を調べるといい。証拠など出てこない。私はあの花を触ったりさえしていないのだからな」


自信ありげな態度に、フリードの方がひるんだ。


「では、なぜ叔父上の畑からはあれだけの収益が上がるのです。普通ではありえない」

「さあな。よほど買い手が気に入っているんだろう。良い値で買うと言われて、私としては反対する理由がなかった、というだけだ。売ったものは本当にただの野菜や花や加工品だけだ。農園も作業場も帳簿もすべて見せよう。これ以上の発言は、証拠を見つけてから言うんだな」


フリードの疑惑の眼差しを、アルベルトは平然と受け止める。


「こっちだ」


彼の案内に従い、フリードは歩き出した。少しの疑問も見逃さないよう、注意深く辺りを観察しながら。
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