イケメン伯爵の契約結婚事情
農園を一通り巡り、収穫したものを保存する蔵や、加工の作業場を一通り確認したが、それらしいものは見当たらない。
室内に戻り、帳簿類も確認するが、屋敷にあった帳簿同様、細かな記載がない。
途中でディルクを呼び確認させたが、おかしなところは見つけられなかった。敢えて言うならば、花類の金額とともに、加工品の設定金額が高いことくらいか。
「……どうかね。何も出てこないだろう」
「この加工品というのは……」
「ハチミツやジャムだな。他地区では貴重らしく割と高額で取引される」
「……エミーリアもそんなことを言っていたな」
とびぬけて高額ではあったが、領土をまたぐと一般常識が通じなくなるため、おかしいとも言い切れなかった。
結局確かな証拠を見つけることは出来ず、フリードは歯噛みする。
「ではあのデス・カマス。あれだけは処分していただきたい」
「なぜ? 鑑賞用として置く分には無害なものだ」
「毒性があると知っていて放置はできません。誰かが間違えて触ったり食べたりしたら大変だ」
そのとき、部屋の扉がノックされた。
姿を現したのは、アルベルトの妻のカテリーナだ。ふたりが緊迫した話をしているとは思っていないのか、朗らかな笑顔を向けてくる。