イケメン伯爵の契約結婚事情
「カール」
「これは、エミーリア様。いい芋が手に入りましたよ。果物も、野菜も新鮮です」
「随分たくさんあるのね。こんなに使い切れるの?」
「全部は使いません。余りは食糧庫で保存するんです。あ、でも、エミーリア様の食事はいつも新鮮なものを使っていますから大丈夫ですよ?」
「大丈夫って?」
「フリード様は、前の奥様をあんな形で亡くされていますから。エミーリア様の食事は必ずその日入荷した、経路のはっきりしたものだけを使えと」
「……そうなの」
毒についても、エミーリアはひそかに調べていた。
食物には毒性のあるものも確かにある。しかし、多くは数日寝込ませる程度で死まで至らせる力はない。
前妻の死について聞きかじったところだけでの判断だが、喉をかきむしって吐き出したということは、相当の毒だ。
この屋敷の料理人が、果たしてそれに気づかないものなのだろうか。
「……あの、カールはこの屋敷で長いの?」
「僕ですか? いいえ。町の料亭で働いていたんです。フリード様が気に入ってくださり、お屋敷に呼んでくださって、下働きをさせてもらえるようになりました」
「じゃあ、前の奥様のお亡くなりになったときのこと、知ってる?」
途端に、カールは顔を曇らせた。