イケメン伯爵の契約結婚事情
*
まぶしい朝日が差し込んできて、メラニーのご機嫌うかがいの声がする。
「おはよう。メラニー」
「今日からご旅行に行かれると聞きました。エミーリア様はご朝食を、その間に私が用意をしておきます」
いつものように小さなテーブルに一人分の朝食が並べられている。それを見たエミーリアは衝動的に立ち上がった。
「フリードに聞いたの?」
「いえ、ディルク様に」
「じゃあ彼は部屋かしら」
勢いのまま扉に向かい、怪訝そうに見つめるメラニーに告げる。
「旅行用の服は簡素なものでいいわ。あんまり荷物を増やしたくないの」
「エミーリア様、どこへ」
「フリードのところ」
「そんな恰好で。エミーリア様ってば」
メラニーの静止も振り切り、エミーリアはフリードの個室に向かう。同じ階にある彼の部屋はそう遠いわけでもないが、最初に案内してもらった時に場所を確認したきりで、自分から向かうのは初めてだ。
「入るわよ、フリード」
扉を開け放った時の、寝巻にガウンを羽織っただけの無防備な姿、目が点になったようなフリードの顔に、エミーリアは思わず笑いだしたくなる。
「どうした、エミーリア」
「朝食を一緒に食べたいの。ひとりでなんてつまらない」
「だからってそんな恰好で……」
フリードは慌てて立ち上がり、ガウンを脱いで彼女の肩からかけた。
まぶしい朝日が差し込んできて、メラニーのご機嫌うかがいの声がする。
「おはよう。メラニー」
「今日からご旅行に行かれると聞きました。エミーリア様はご朝食を、その間に私が用意をしておきます」
いつものように小さなテーブルに一人分の朝食が並べられている。それを見たエミーリアは衝動的に立ち上がった。
「フリードに聞いたの?」
「いえ、ディルク様に」
「じゃあ彼は部屋かしら」
勢いのまま扉に向かい、怪訝そうに見つめるメラニーに告げる。
「旅行用の服は簡素なものでいいわ。あんまり荷物を増やしたくないの」
「エミーリア様、どこへ」
「フリードのところ」
「そんな恰好で。エミーリア様ってば」
メラニーの静止も振り切り、エミーリアはフリードの個室に向かう。同じ階にある彼の部屋はそう遠いわけでもないが、最初に案内してもらった時に場所を確認したきりで、自分から向かうのは初めてだ。
「入るわよ、フリード」
扉を開け放った時の、寝巻にガウンを羽織っただけの無防備な姿、目が点になったようなフリードの顔に、エミーリアは思わず笑いだしたくなる。
「どうした、エミーリア」
「朝食を一緒に食べたいの。ひとりでなんてつまらない」
「だからってそんな恰好で……」
フリードは慌てて立ち上がり、ガウンを脱いで彼女の肩からかけた。