もう一度君に会えたなら
「時間が経てば気持ちが変わるかもしれないよ」
「そうだといいけど」

 わたしの幸せって何だろうか。
 川本さんと一緒にいたい。ただそれだけだ。

 放課後、榮子と一緒に迎えに来てくれたお母さんのところまで行く。
 榮子はお母さんに帰るときには連絡をするため一緒に買い物に付き合ってほしいと説得してくれた。
 お母さんも中学校入学以来仲の良い榮子に頼まれ、嫌とは言い出せなかったようだ。

 わたしたちは近くのショッピングモールまで送ってもらった。帰るときにはお母さんに電話をするといい、お母さんと別れた。そして、榮子に連れられ、エスカレーターで女物の服がうっているフロアまで行った。

 そのまま榮子はワゴンに乗っていたカーディガンを買うと、支払いを済ませた。

「じゃ、行こうか」
「どこに?」
「コンビニ」

 彼女はそう言い残すと、そのまま階段で地下まで降りた。そのまま地下街に出る。

「地下街を通ればまず唯香のお母さんには見つからないでしょう」
「わざわざごめんね」


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