HANABI
………………
「じゃあ、うちのクラスの出しもんはお化け屋敷でええんか?」
「「はーい!!」」
すっかり秋も深まり、みんなの進路もポツポツと決まり出した、10月。
高校最後の行事、文化祭の季節がやってきた。
これが終わってしまえば、あとはしっかり将来に向き合わなければいけない。
だからこそ、みんながはりきってるのが目に見えてわかる。
でも、あたしはそんなみんなの輪から外れ、木枯らしが吹き荒れる窓の外に視線を移した。
そんな時だった。
「った!!」
頭上から降ってきた痛みに顔を上げると
「里見も参加せーや。高校最後じゃけぇ。」
腕組みをしてあたしを見下ろす粟生が居て。
「粟生…。」
その名前を口にするのが、酷く懐かしく感じてしまう。
「ほれ、やりんさい。」
ぐい、っと引っ張られた腕にあたしはみんなの輪に放り込まれた。
…あの日から、あたしは生徒指導室には行ってない。
何だか、粟生と顔を合わせづらくて。
呼び出されるかと期待してみたけど、そんな事がある訳もなく。
毎日の日課がなくなったあたしは、それまで粟生に会えなくなるのが嫌でやらなかったバイトを始めた。