HANABI
粟生に出会ったのは
去年の春。
ちょうどあたしが二年に上がった始業式の事だった。
「今日からこの学校で古文を担当して頂く
粟生 満流(アオ ミツル)先生です。」
新任教師として紹介された粟生は
すぐさまみんなの注目を集めた。
「えー、超かっこいいじゃん!!」
「どのクラスの担任になるの!?」
低すぎるのか、檀上のマイクに少し前屈みになる程のその背の高さに
黒髪の間から覗く縁なしの眼鏡。
切れ長の瞳は、ざわつく体育館にも同様する素振りを見せず
グレーのスーツに身を包んで口を開いた。
「宜しゅうお願いします。」
そのルックスからはとても想像出来ない口ぶり。
「…宜しゅう??」
「って、どこの人?」
一瞬にして静まった生徒達。
だけど、あたしは体中全てに電気が走ったような、別の意味での衝撃を受けた。
「…ヤバい、でしょ。」
あたしの五感の全てが粟生に奪われた、そんな小春日和。
そのギャップに、あたしはまんまとハマって。
気が付いたら、恋に落ちていたんだ。
先生、に。