HANABI


て言っても、すぐに気持ちを伝えたわけじゃない。

粟生が担任したのは、隣のクラス。


最初は、たまに隣のクラスから聞こえる粟生の声を聞いてるだけでも幸せだった。


先生と付き合う、なんて現実に考えて無理だと思ってたし
まして、振られるとわかっていて告白する程の勇気なんかあたしにはなかった。





だけど―――……


「高校最後の一年、宜しゅう。」

眼鏡の奥の瞳が笑ったあの時、そんな淡い恋心は吹っ飛んでしまったの。


高校最後の一年。
高校三年生の、春。

はらはらと舞う桜は
まるでこうなる事を予感していたように
あたしの机の上に落ちて。


「里見 楓(サトミ カエデ)」

それを人差し指と親指で掴んだ粟生は、あたしを見下ろして笑った。




「スカート、短すぎじゃけぇ。」

その似合わない広島弁に
八重歯が更に不釣り合いで。


里見 楓
10歳も離れた先生相手に、マジで恋をしてしまったって訳。



…はい。












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