奏 〜Fantasia for piano〜
夜、十九時。
手伝い程度にお母さんと一緒に作った夕食を食卓テーブルに並べ、スマホゲームに夢中な妹を呼ぶ。
「亜美(アミ)、ご飯だよ」
「待って、あとちょっと……」
「今すぐ来ないと、亜美のハンバーグ、半分もらうから」
渋々ゲームを中断してダイニングスペースに来た亜美は、中学一年生。
私と五歳も離れているせいか、夕食の手伝いは姉がやって当たり前で、たまにお父さんが買って帰るケーキも、最年少の妹が最初に選んで当たり前の甘ったれだ。
お父さんはまだ仕事から帰って来ないので、女三人で食卓を囲む。
育ち盛りの亜美は食欲旺盛で、メインのハンバーグだけをすぐに平らげ、目が明らかにお母さんの分を狙っていた。
それに気づいたお母さんは、三分の一ほどを亜美の皿に分けてあげていて、私は呆れの溜息をついた。
甘すぎる……。
「亜美、サラダも食べなよ。お肉ばっかりでバランスが悪い。太っちゃうよ?」
「大丈夫。お姉ちゃんと違って部活やってるもん」
亜美は陸上部で、確かに私より消費カロリーは多いのだろう。
それにしたって、サラダに全く手をつけないのはカチンとくる。
私がレタスをちぎって、キュウリとトマトを切って盛り付けたサラダなのに。