奏 〜Fantasia for piano〜

おばあちゃんの家?

おばあちゃんは、お父さんのお母さん。

車で二時間もかかる遠い田舎にいるから、お正月にしか会えなくて、私にとっては近い存在ではなかった。


ひとりでなんて行きたくない。

不安いっぱいでそう言っても、お父さんは『ごめんな』と私の頭を撫でるだけで、田舎に連れていかれた。


幼稚園もお休みさせられて、大好きな理恵先生にも、仲良しの陽菜ちゃんにも会えない。

おばあちゃんは優しいけれど、煮魚よりもお母さんのハンバーグが食べたかったし、毎日寂しくて仕方なかった。


そんな日が二週間ほど続いて、待望の知らせが来た。

昨日、赤ちゃんが生まれたと、お父さんが電話をくれたのだ。


『赤ちゃんが生まれたら、迎えに来るからね』と、置いていかれるときにお父さんは約束していた。

だから、これで私は家に帰れる。

妹が生まれたことよりも、帰れるという喜びの方が遥かに大きかった。

< 25 / 264 >

この作品をシェア

pagetop