奏 〜Fantasia for piano〜

広い芝生の庭には花壇があり、名前の知らない夏の花が月に向かって咲いていた。

花壇の向こうには、おばあちゃんの家と似たような木造平屋の家があって、その家から数メートル離れた場所に小屋が建っていた。


水色の横板張りの外壁に、屋根はとんがり帽子みたいな形の洋風な赤瓦。

アーチ型の出窓があり、扉もアーチで童話に出てくるような可愛らしい小屋だった。

ピアノの音は、半分開いた窓ガラスの内側から漏れていて……。


近づいて、窓から中を覗こうとしたけれど、背伸びしても窓のサンに指先が触れるだけで、身長が足りなかった。

他に覗ける窓はないかとグルリと一周し、この小屋が六角形をしていることを知った。

出窓は二ヶ所で、どちらも私の背では覗きこめない高さにある。

それで、扉の前に立った私は、丸いドアノブに手をかけて回してみた。

鍵はかかっていなくて、手の中でスムーズに回転し、そっと引くとーー。


急に眩しさを感じて、目を瞑る。

瞼の向こうの強烈な光が消えるのを待って、恐る恐る目を開ける。

すると……あれ、ここはどこ?


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