奏 〜Fantasia for piano〜

「では、ご説明を」


彼はこの世界の管理人で、ここは切り離した心をしまっておくための世界だと説明された。

なるほど、とは思えない。

説明されて、さらに頭は混乱するばかり。

もしかして、私の頭がおかしくなったから理解できないのだろうかと不安になり、分かりそうな答えを求めて簡単な質問をする。


「あの、管理人さんのお名前と年齢は?
どちらの国の方ですか?」


理解しやすく答えやすい質問のはずなのに、なぜか管理人はカクッと首を傾げた。

二等辺の三角定規を当てたら、ピタリとはまりそうな四十五度の角度に。


そのまま真顔でじっと見つめられ、おかしな質問をしてしまったのかとうろたえた。

数秒後に首の角度を元に戻した彼は、また口元に事務的な笑みを浮かべる。


「私は管理人です。それ以外の何者でもありません。

名前も歳も国籍も持ちません。今は便宜的にこの姿をしていますが、小石であっても水であっても構わない。姿がなくてもいい。

なぜなら私は、概念としてここに存在しているからです」


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