奏 〜Fantasia for piano〜
私の嫌いな色はグレー。
白か黒かハッキリさせたい性格をしている。
もやもやする心が気持ち悪くて、つい非難めいた言葉を口にしてしまった。
「管理人さんは、この世界を、正しい世界だと思っていますか?」
すると管理人は首をカクッと、四十五度の角度で横に倒した。
それは名前を聞いたときと同じ反応で、自分が的外れな質問をしたと知る。
「正しくもなく、間違えてもおりません。
扉とお部屋を必要とされるお客様がいらっしゃるので、この世界と私が存在しています。ただ、それだけなのです」
正しくもなく、間違ってもいないということは……。
管理人の説明をなんとか噛み砕こうとしていたら、突然私の胸元で、なにかが光りだした。
なぜか制服姿の私は、白い半袖ブラウスに、紺色でチェック柄のプリーツスカートと、同色のリボンを襟元につけている。
そのブラウスのポケットになにかが入っていて、急に輝き始めたのだ。
驚いて光るものを取り出し、また驚いた。
これ、昔、奏にもらった鍵だ……。