恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
「これからどうしてくれる。仕事、集中できないぞ。責任とれ、椎名萌香」

「責任とれっていわれても」

「今日はそれぐらいでいい」

と、ひょいっとまだ伝票が残るダンボールを大上部長が持ち上げ、棚にしまった。

「あの、まだ処理していないんですけど」

「仕事にならない。いくぞ、椎名萌香」

わたしの手を取ると、引っ張るようにして特別班の部屋を出て、さらに『カントク』の部屋を出た。

「まだ業務時間中ですって」

「休みをとってある。お前の分もだ」

といって、非常階段を一緒に上がり、ホテルの部屋のある階へと向かった。

「さあ、部屋に案内しろ」

と、わたしの部屋の前までたどりついた。

「どういうこと、ですか?」

「すべては部屋で話すから中へ案内しろ」

と、しぶしぶ部屋のドアを開ける。
すると、花のいい香りが立ち込めた。

部屋の中にはバラの花がきれいに活けられている。
今朝起きたときにはこんなことなかったはずなのに。

「感謝の気持ちだ」

といって、わたしの体を抱き寄せる。
大きな体に包み込まれた瞬間、わたしは縛りつけていた心が解かれるような、そんな心持ちがした。
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