恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
強く抱き寄せられ、大上部長がわたしのことを思ってくれていたことを体で感じる。

少しだけ体をひき、大上部長はわたしの鼻先に顔を近づけた。

「まったく世話がやける奴だ」

「……どうせ迷惑かけるひとですよ」

「俺に世話を焼かせろよ、ずっとこれからも」

そういった瞬間、大上部長はわたしの唇に自身の唇を押し付けた。

いつも不意打ちにキスされていたから、こういう甘くやさしいキスははじめてだったから力が抜けて足がガクガクと震える。

「そんなにいいのか? 俺のキスは」

といって、わたしをお姫様だっこすると、目の前のベッドの上にやさしくおろす。

わたしの上にまたがると、口を近づけようとしていた。

大上部長のスーツのポケットから電話の呼び出し音が流れた。
またがったまま、ポケットからスマホを取り出すと、

「こんなときに、あおいからか。ったく、俺たちのこと嗅ぎつけたか」

はあ、と大上部長はため息をもらした。

「……まさかここに監視カメラが?」

「あるわけねえだろう。そういう趣味なら俺が専用でつけてもいいが」

「そういう趣味なんてありませんてば」

大上部長が艶やかな笑顔をみせたとき、また電話が鳴った。
しぶしぶスマホの画面をみて、表情が曇る。

「……社長からか。ごめん」

といってわたしから離れた。
大上部長は入り口に向かうと、さっきよりも低姿勢で電話の向こうにお辞儀をしまくっている。

「承知いたしました……」

電話を切ってすぐにせつない顔を浮かべた。

「社長に呼ばれた」

「社長、ですか」

「いい子にしてろよ。お預けだ。いいな?」

大上部長は横たわっていたわたしの頰にキスし、頭をくしゃくしゃと撫でるとスーツのしわを直し、部屋から出て行った。
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