恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
大上部長が出ていったあと、ずっと部屋で待っていたけれど、結局、帰ってこなかった。
お預けになってしまったけれど、次の朝になればまた大上部長に会えるんだからいいか、と思っていた。

ぎゅっと自分を抱きしめてみる。
あんなにやさしく抱きしめてくれるなんて思ってもみなかった。

いつもなら尖った表情をみせていた大上部長が、昨日は心を溶かしそうな甘くて艶やかな目でわたしをとらえていた。

大上部長に好きだって告白したかった。
ベッドに横たわりながら、ぼんやりと夜景をみつめる。
部屋のいたるところにバラのいい香りがたちこめている。
本当だったら、ここで大上部長と朝を迎えていたのかもしれない。

ちゃんと気持ち伝えないと。
これからも『カントク』で仕事をする以上は気持ちにけじめをつけなきゃ。

次の朝、出勤すると、あおいさん、戸塚さん、鈴井さんがいるだけで、大上部長の姿がなかった。

「おはようございます。大上部長は?」

「出張だそうよ」

「え、そうなんですか……」

つい、がっかりした声をあげてしまう。

「あら、萌香ちゃん、がっかりした顔しちゃって」

と、あおいさんがクスクスと笑っていると、

「おい、何想像してる。顔、にやけてるぞ」

と、戸塚さんがすかさず突っ込みを入れる。

「……あ、す、すみません」

大上部長のこと好きだとは周りのみんなにはいっていないんだけどなあ、と思いつつ、あおいさんから段ボールいっぱいの伝票をもらってひとつひとつ処理をしていった。
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