黄昏の千日紅
都会の中の、比較的大きな駅に降り立つと、社会人や学生達でごった返していた。
私は人々の中に埋もれながら、波と共に改札へと向かう。
自分の周りにこんなに沢山の人が居ても、” 私 ”という一人の空間がちゃんとある。
私というちっぽけな存在が、周りに認識されている。
改札を抜けると、すぐ側にあった人の温もりは消え、人混みはそれぞれの場所へ散らばって行く。
彼方此方に、梅の花や桜の花が木々に花弁を咲かせ、雑踏に埋もれた蒲公英が顔を覗かせていた。
植物も、動物達と同じように、必死に自分の生命を主張しているのだろう。
誰かに自分の存在を見つけてもらいたい、認めてもらいたいと。