黄昏の千日紅
私は桜の木を眺めながら、幼少期の頃を思い返す。
__昔、隣の家に住んでいた私より二つ上の梶ヶ谷優くんとは幼馴染で、家族ぐるみで仲が良かった。
私は優くんのことをとても慕っていて、彼は私のことを妹のように可愛がってくれていた。
私の両親は共働きで多忙であり、小学生に上がった頃から所謂、鍵っ子だった。
そんな私を優くんは家に招いてくれたり、近くの公園に連れて行ってくれたりした。
面倒見の良い彼はとても優しく賢く、私に沢山の事を教えてくれた。
” ねえねえ、優くん ”
” ん? ”
” …どうして………?”
” …ああ、…それはね…… ”
………あれ?
私は何を訊いたんだっけ。
彼は何と答えたんだっけ。
あの時私と優くんは、
なんて会話をしたんだっけ。
白い霧が、頭の中全体を埋め尽くしているかのように、当時の会話が途切れ途切れに思い出せない。