黄昏の千日紅
生徒達の話し声で騒がしい廊下の道を、一人ゆっくりと歩く。
皆、友達作りに必死なのか、放課後すぐに帰る生徒はあまり居ないようで、廊下の真ん中で沢山の生徒達が話し込んでいて、正直邪魔だ。
歩く度に、私の金色の明るい髪色が目立つのか、周りからの視線がひしひしと伝わってくる。
名門校だからといって、特別校則が厳しいわけでもないこの学校は、ちらほら髪を明るく染め上げている生徒も居る。
そう、目の前を歩いている桃色の髪色のように…
桃色。
ああ、あの人は、今朝桜の木の前で見た彼だ。
彼こそ一際目立つ容姿で、颯爽と、尚且つ気怠そうに廊下を歩いて行く。
廊下を歩く生徒達が、彼をちらちらと見ながら去って行く。
私と同じ方向へ向かっているということは、職員室に用があるのであろうか。