黄昏の千日紅






私は彼と少し距離をとりながら歩く。




職員室の扉を彼が開けると、無言で室内へ入っていくのが見えた。
私も続いて中に入り、担任の姿を探して側へ近寄った。





桃色の髪の彼は、職員室から繋がる、隣の理事長室へ向かったようだった。







「おう、藍川。ちゃんと来たか」





担任にそう言われ、顔を理事長室の方からそちらへ向ける。





何故、私は桃色の彼のことを意識しているのだろう。
ただ、桜と似ているあの髪色が気に入らないからであろうか。



春と桜を連想させる、あの髪が。







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