黄昏の千日紅
「…凛?」
目の前で、私の肩を揺らしていたのか、両肩に手を置く飛鳥の姿がある。
「…あぁ、ごめん。何でもないの」
また、彼女に心配掛けてしまった。
私は無理矢理作った笑顔を向けると、彼女は困ったように眉を下げて微笑んだ。
「…帰ろうか」
そう言った彼女のハスキーボイスが、いつもよりも掠れていて、少しだけ切ない気分になった。
それは、私達の間に流れるぎこちのない雰囲気を、更に助長させるような声だった。