黄昏の千日紅





翌日の昼休みも、沢井くんが私の席に座りレオを含む、派手な人達と楽しそうに談笑をしている。




お手洗いから戻った私が見た光景が、自分とは別世界に思えた。




向こうは輝きを放った白い空間。
私の場所は黒い真っ暗な闇。




私は何となく、そんな喧騒たる教室に戻るのが嫌で、踵を返し、屋上へと続く階段を登った。






まだ昼休みが終わるまでは少し時間がある。少しの間、暇を潰そう。




重い扉を開けると、目の前に青く綺麗な空が視界に飛び込んで、私は暖かい空気に包まれた。




空を見ると、いつも少しだけ心が晴れる。



こんな青く広がる大空の下で、私はこんなにもちっぽけな存在なのだと思わされるから。




こんなちっぽけな悩みを抱えて、馬鹿馬鹿しいと思えるから。





私は思い切り外の空気を口から吸い込むと、手摺まで歩み寄り、屋上からの景色を一望する。
昼休みだというのに、屋上には誰一人いない。




良かったのかもしれない。

今は一人になりたい気分だ。





閑静の中、校庭で走り回る生徒達の声が聞こえ、校外の何処かで救急車のサイレンが聞こえる。



微音はあるのに、何となく世界に一人になった気分がして落ち着く。







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