黄昏の千日紅






「はあ、美味しかったぁ。オマール海老のカルパッチョ…最高だったなあ。でも、何と言っても牛フィレ肉とポルト酒の組み合わせは絶品過ぎて。もう一回食べたい…」





私は些か興奮して、いつもよりも口数が増えてしまう。



そんな私に彼は頬を緩ませ、「落ち着けよ」と言葉を漏らした。



「だってぇ…」



久々の外食をすると、こんなにも他人が作った料理は美味しいのだと再確認出来る。


いや、そこらの飲食店とは比べてはいけない程、美味しいフランス料理を窘めたのだが。



どの料理も皿に乗っている量は決して多くはないし、中には一口サイズのものもあった。



しかし前菜からメインディッシュまでで、ここまで満足させられるシェフの腕前は素晴らしい。





彼の友人がここで働いているだなんて、その人は相当凄い人なんだろうな、と思いながら、奥の方に潜む厨房をちらりと盗み見る。






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