黄昏の千日紅





そして再び私が、珈琲のカップを口に運ぼうとした瞬間、突然店内の照明が暗転した。



「えっ」



停電かと思い咄嗟に声を漏らすと、聞こえていた心地の良いBGMが、少しテンポの良い曲調に変わる。





周囲が騒めいていない事に、私は取り乱した羞恥心を抱きながら、目の前の彼を見てみると、暗くてあまり表情が見えない。




厨房の方から何かゆらゆらと揺れ、こちらに向かってくる光が視界に入る。





ここで私は再び興奮を覚え、少しばかり自意識過剰になってしまう。




私が目を輝かせて光を追うと、自分の目の前にそっと置かれた一人前のホールのショートケーキ。





蝋燭の灯火で見えたマジパンに書いてある” Happy birthday Reo ”の文字を見て、心の底から感動が湧き上がる。




綺麗なショートケーキは苺と生クリームだけのシンプルな作りだが、プロの手作りであろうか。




ナッペも綺麗に施されており、苺がナパージュで美しくキラキラと光っている。

まるで展示されたサンプルのようだ。








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