恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~



怒涛の如く時間が過ぎて行った。

佐野君は席を外していて、でっかいメモをと書類をファイルに入れて彼の机に置いてきた。

件の作業が尾を引いて、私の仕事はまるで進まない。

他にもいろいろ修正箇所があって、ずっと後まで対応に追われた。

「もうー無理!いい加減に諦めるか。明日から気合を入れてがんばろう」

声を出して、体をめいっぱい伸ばした。

あれ?

いつもなら、お疲れっとか、大変だねとか。声がかかるのに。

周りの反応がない。オフィスはしんとしていた。

そのはずだ。だんだん人も帰って行って、残っていたのは、私と課長だけだった。

課長と目が合って、苦笑いする。

疲れてるせいか、斜め前のひょろんとした、なで肩の課長の体が揺らめいて見える。


私は、目頭をつまみながら現実を見ないようにした。

けど、頭に浮かんでくるのは、どうやって営業の猟犬みたいな男を納得させるかだった。


佐野君は、営業成績もよく自信家だから押しも強い。

管理部2年目の美沙ちゃんが、争える相手じゃないけど。

会社のお金のことだから、営業部の社員に怒られても規則を曲げることはできない。

できないけど。すんなり納得してくれるとも思えない。

彼が出てきたら、ひと悶着ありそうだ。


なれば、もう少し、仕事やっておこうかな……

課長も帰りそうにないし。
< 16 / 267 >

この作品をシェア

pagetop