恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
「もしかしてさ、和泉って欲求不満なの?」
妹の愛美が真面目な顔をして言う。
「何が?」
内心ギクッとした。
こういう時は、冗談で流したらいけない。
気が付いてない振りしてやり過ごす。
うっかり下手なことを言うと、追求されるてしまうから。
愛美が同じ立場なら、私も言い返すんだけど。
結婚して子供が生まれてからは、まったくの形勢逆転。
義理の息子と孫をもたらした妹に、独身で、結婚の当てのない私は勝ち目がない。
愛美ったら、勝ち組人生を歩むことになった気のゆるみから、すっかり丸みを帯びたお母さん体形になってる。
それでもだ。ここは、戦う気はありませんと、白旗を上げる。
大人しく、引き下がった方がいい。
「ねえ、今、付き合ってる人いないの?」
さすが、二つ年下のわが妹。
早速、反撃に来た。
学校の勉強はさっぱりだったけど、こういう事には勘が働く。
「別に」
いないから、
いないといえば済むんだけど。
恋人がいないと宣言するのは、必死で頑張ってるのに。
どこかに欠陥があって、できないみたいに聞こえる。
悪いけど。私、そこまで切迫してない。