恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~

「お腹すいてるだろう?何か食べよう」

彼は、罪なほど清々しい笑顔を私に向けた。

と、同時にすっと手を差し伸べてきた。

彼は私の手を引っ張ると、呆然としている私を脇に抱えて歩き始めた。

「足痛いんじゃないの?歩けるかい?」

さっき、ふらついてたこと気にしてくれていたんだ。

いちおう、優しい所はあるみたい。


私は、クルクルと足首を回してみた。

とりあえず、足の痛みはないしちゃんと動いた。

彼がその様子をじっと見ている。

「大丈夫です。ちゃんと歩けます」

立ち止まってるのは、ついて行ってもいいのか考えてるからなんだけど。


それより。

この流れで行くとさっきのお詫びがラーメンってこと?

「あ……あんなキスをしておきながら、
ラーメン一杯で誤魔化すつもりですか?」

私を、キスと恐怖に陥れた代償が、ラーメン一杯だなんて。

いくら何でも、安すぎやしませんか?

何が面白かったのか、クスクスと笑い出した。

「そういう訳には行かないだろうね。
でも、お腹すいてるとイライラするだけだろう?」彼は、嬉しそうに笑って答える。

「まあ、そうですけど」

「だから、とりあえず腹ごしらえしよう、ね?」

ね?

じゃねえ。


ビルを出たところに、ラーメン屋さんが一軒あった。

このお店一度、入って見たかったんだ。

チェーン店じゃなく、昔風のラーメン屋さんだったから一人では入りづらかった。

彼はなんなく、ひょいと店の暖簾をくぐった。
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