恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
「仕事が忙しくて、それどころじゃないのよ」
と言う。それは本当だった。
入社して年月も経っている。
責任ある仕事も任されるようになってきたのだ。
会社で過ごす時間が長くなると、それ以外のプライベートのことは、どうでもよくなる。
というか、私生活の方がさっぱりになって来た。
休日、年頃の男性とデートして気を使って疲れるより、私は晃太の笑顔で癒されたい。
というか。
面倒くさい。彼氏なんて欲しくない。
男は、晃太で十分だなんて思ってる。
30歳までは二人とも、なんとなく誤魔化せば許してくれたけど。
31歳になった途端に、二人とも追及の手を緩めてくれなくなった。
それがどうしたの?って言い返せばいいのだけれど。
言い返した途端に、大変なことになるのは目に見えてる。
『恋人はいません』と
有罪判定が下りれば、
怒涛の如くお見合い写真だの、友人の息子だの、旦那の友人だの、あらゆるコネを使って、余りものくっつけようとする。
まるで、冷蔵庫の残り物の野菜をマッチングして何とか食べられる料理をこしらえるみたいに。
そこで、私は父親を見習って
「仕事が……」といってなんとか二人の追及をかわす。
フルタイムで、会社勤めをしたことのない母娘二人は、勤め人の私が、実家にやって来て、ノーメイクとジャージ姿で昼間で寝てる姿を見ても、有難いことに変だと思わない。
会社勤めとは、大変なストレスにさらされていて、家に帰ったら、みんながみんな魂が抜けたみたいに、ぼやんとしてると思い込んでいる。
行き遅れかかってる娘を見ても、お父さんのように、いたわるもんだと思っている。
だから、もう、私の逃げ込むのは仕事くらいしかない。