恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
「佐野君、どこに行くの?」
佐野君は笑ってるだけで、答えてくれない。
ちょっと待って。
彼の大股について行けなくて、遅れて歩く。
そのたびに、腕を引っ張られる。
逃げるつもりはないんだけど。足がすくんでうまく歩けない。
「逃げるなよ。このツンドラ女?」
「ツンドラ?」何ですか、それは。
「永久凍土で草木も生えない。樹木が成長するには、不適格ってこと」
「はあ」
「はあ、じゃねえ。経理女。こっちも、はいそうですかって訳には行かない」
佐野君に肩を抱かれるようにして、階段で下の階に連れて行かれた。
確かに4万3千円は大きいけど。
たった、4万3千円のために、私、佐野君に売り飛ばされるの?
借りるって、何するつもり?
私は、人買いに買われた少女のように佐野君に連れられていく。
腕を取られて引っ張られていく。下の階のフロアに入った。
ねえ、みんな見てるんですけど。
すれ違う人が、何事だと、ぎょっとするように見ていく。
こんなに大騒ぎするようなこと?
「ここは?」
フロアの真ん中で、いきなり腕を放された。
「えっと……」
「俺のデスクだ。何してる。早く座れ」
「うわっ」
座りたくない。
ぐちゃぐちゃだ。あんまり整理されてないね。
そういう意味でも、座りたくない。
「お前、顔に出るタイプだな」