ダイエットの神様
 次の日、紗枝はいつもの場所に
行くと、たこ焼きの移動販売車で
はなく、車体の横にホットキャッ
ツとペイントされた移動販売車が
止まっていた。
(なんで!?)
 紗枝はあ然としながら近づいて
見た。
 その移動販売車にはホットドッ
グ用の機材に食材もすべて揃って
いた。
 その中で剣士がいつものように
雑誌を読んでいた。
「これ売るの?私が?」
 紗枝は剣士と自分に問いかけ
た。
「そう、おいしかったから」
 剣士はあっさりと言った。
(一晩で、どうやって揃えたんだ
ろう?)
 紗枝は混乱しながらも、準備を
始めた。   
 新鮮なもやしに、食パンではな
く、ホットドッグと同じパンがあ
り、フィッシュソーセージは市販
のものより少し太め、キムチは質
のいい物が数種類、揃えてあっ
た。
(すごい!)
 紗枝は剣士のことを知りたいと
思った。だけど、今の関係が壊れ
るのが怖かったので、聞けなかっ
た。

 ホットキャッツは、いつもたこ
焼きを買いに来ていた人たちが、
ものめずらしそうに買って行くぐ
らいだった。
(人通りが少ないから、やっぱり
ダメなのかしら?)
 紗枝は自分が考えた物だけに、
少し焦りを感じていた。
 何日かたって、昼休みのOLた
ちが、ちらほら買いにくるように
なった。
 それは、時々、営業社員が会社
に戻るときに、ホットキャッツを
同僚の差し入れに買っていて、そ
れで話題になったらしかった。
 紗枝とOLたちはすぐに仲良く
なり、紗枝が痩せた話しなどもす
るようになると、ホットキャッツ
で痩せるという噂が流れるように
なった。
 それからは昼間に、お客さんが
並ぶようになった。
 すると、剣士は食材が不足しな
いように業者に手配し、定期的に
配達させた。
 どんどんお客さんは増え続け
た。
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