雨を待ちわびて

「あ、ちゃんと、今日も夕方になったら段ボールを被せましたよ」

「そうですか。そうして日照時間を短くしていると、秋口には蕾がついて、きっと花が見えますよ?
日中は日差しがきついので日陰に置いてくれましたか?」

「はい」

「葉が焼けてしまいますからね」

「大丈夫です。あの、久遠さん…」

「ん、何でしょうか…」

「あの…亨…さんて…呼んでもいいですか?やっぱりそれは…馴れ馴れしいですか?」

…。

「…構いませんよ。でもそれには交換条件があります」

「は、い?」

「俺も守田さんの事を下の名前で呼びます。いいですか?」

「はい、勿論」

「では、直…、それとも直さん?どっちがいいですか?」

「どちらでも」

「では、直さんとお呼びしましょう」

「はい」

「直さん…」

「はい、…亨さん」

…。

「フ、何だか、ガッチガッチで…お見合いでまだお互いをよく知らない、馴れないまま結婚した夫婦の初夜みたいですね」

「あー、何だか、解るような、フフ。……亨さん」


「直さん…。俺と初夜…、過ごしてみますか?」

「ぇえ?…。私達はお見合い結婚した夫婦ではありませんよ?」

「…そうでした。…夫婦ではありませんでした」

「フフ、はい」

今も…抱き合っていた。

「明日は朝ご飯、俺が作ります」

「え?」

「あ、直さんのご飯がどうとかでは無いです。
習慣なので、作りたくなっただけです。大したモノは作りませんけど」

「では、私は…サポート的に、…並べたりとか」

「いいえ、直さんは、寝ていてください。出来たら起こしますから」

「え、でも…」

「明日は、そうしてくれる事が仕事です」

「解りました。仕事します。では、起こされるまで寝てます」

「はい」

…。

「おやすみなさい」

当たり前のように…抱き直すように腕を回してぴったりとくっついて来る。

…。

「おやすみ」
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