雨を待ちわびて
私は可笑しくなったのだろうか。
どこかで片霧さんを求める気持ちがありながら、久遠さんに強く惹かれている。
多分、片霧さんには、思いは伝わらないと思っているからだろう。
ぁ、…ん、はぁ…。
「亨さん…」
久遠さんはとても優しい。優しく丁寧にじっくり愛してくれる。それは堪らなく、焦らされているようで、身体を熱くさせた。そして充たされて…離れられない。…狡い、…甘くて切なくて…身体がまた求める。温かくて、何度も溺れてしまいそうになる。
「…直さん…大丈夫?」
「…も、う…」
「もう?」
「……もう、無理。…駄、目で、す…」
「そうですか、残念ですね。眠くなってしまいましたか?」
…。
これはこれは、…眠ってしまいましたね。
はぁ……、望んでいたとは言え…一線を越えてしまいました。もう、先生には戻れませんね…。
今も何も言って来ない刑事さんと、いずれ俺は対峙しないといけなくなるのでしょうか。
…怖いですね。
そもそもなんですよ。
俺が医者だからといって、こんなにずっと、男のところに放っておいたりしますかね、普通。
俺がいくら担当医師だって、そんなの、職業だけのモノだって、よく解っているでしょうに。
直さんに対して、広い意味で放任なのか…、それとも深く関わりを持つ事を嫌っているのか…。
どうなんでしょうね。
精神科医のくせに、刑事という仕事をしている人の事は、判断がとても難しい。
と言うより、片霧さんという人が難解なんですね。
直さんの事、どうするつもりなんでしょうか。