雨を待ちわびて
「直さん…、寝る前に、何か印象付けるモノを見たとか、考えていたとか…覚えていませんか?心当たりは無いですか?」
刺激されたモノ…何かあるかも知れない。
「んー、…解りません。印象のあるモノ…。
……バラ、バラは見ました。それで」
「バラに何かありますね?」
「…はい。凄く好きなんですよ、昔から、白いバラ。柳とあんな事になる前から好きな花なんです」
…。
「亨さんに貰った程ではないけど。私、…部屋に飾っていたんです。
小さい空きボトルを花瓶代わりに。バラを一本、挿していました。
…白は無垢。汚れの無い色ですよね。私…、汚れてなんか無いって思いたくて。それで…。
柳が私を抱いている間、…抱かれる度、バラをずっと見ていたんです…。
あ、あのバラ、捨てたりしないでくださいね?私、本当に好きなんです。
それに、亨さんが好きな事を覚えてくれていて、私にくれたモノです。絶対捨てたりしないでくださいね」
「大丈夫ですよ…解りました。そろそろ、上がりましょう…。逆上せるといけない」
浴槽の中で後ろから抱きしめられ、抱き上げられた。
「…あ、亨さん?」
床が濡れる事も構わず、そのまま運ばれた。
階段を上がると、下ろされ、取り出したバスタオルを布団に広げた。
「直さん、貴女を今から抱きます。これは荒療治です。ここからバラが見えますよね」
「はい」
明るい部屋の中で横目に見れば見える。
「ちょっと待っててくださいね」
亨さんは腰にタオルを巻き、下りて行くと、部屋の明かりを消した。
遮光カーテンを引いたままの部屋は夜ほどでは無いが暗くなった。
私は身体を拭きバスタオルを巻き付けた。
冷蔵庫から飲みかけのペットボトルを取り出した亨さんは、キャップを開けるとバラを一本挿した。
もう一本水を持ち、戻って来た。
「はい、お水。飲んでください」
一輪の白バラは、布団の横に置かれた。