雨を待ちわびて
「自殺でしょうか、それとも他殺でしょうか」
「まだ解らん。だけど、死ぬならここは選ばんだろうと思うがな。娘さんがラブホで自殺はしまい。他殺だと思うがな」
「…男、ですかね」
「いや、俺は女だと思う。…何もされて無いようだし。浴室も使った形跡が無い。この場所を選んだのは、この娘さんを、おとしめる為もあったんじゃないのか?
今は違っても、前は、このようなところでするような事、してたでしょっ、てな感じで」
「読みが深いですね。確かに、逆に、何一つ乱れの無いように、必要以上に衣服を整えている気がします」
「これって、シリアルキラーのした事でしょうか…」
「…シリアルキラー?石井、何故そう思う、まだ解らんだろ」
「綺麗過ぎるからです。殺し方に強い執念のようなモノとかありそうで…。残酷にしないところに、逆に、表に感情を見せない気持ち悪さがあるような気がします」
「石井…勉強する事は悪いとは言わないが、あんまり熱心になり過ぎるなよ?
犯罪心理を知ろうとし過ぎて、気持ちを取り込まれたらお終いだ。気がついたら、ミイラ取りがミイラになるじゃないけど。
俺はお前を逮捕したくないからな。深入りはするな。
こんな事をする奴の気持ちは解らないくらいでいい。
そうで無くても俺達は、事件が起きる度、まともな感覚を失いそうじゃないか」
「…はい。確かに」
人が人を殺す。それぞれに理由はあっても、許す事は出来ないんだ。
「で?お前の考え方なら第二の犯罪は起きそうか?石井」
「解りません。でも起きそうです。俺はそんな気がします」
「また似たような状況で、か?」
「はい。だからシリアルキラーなんです」
…。
五日後、石井が想像したような事件が起きた。
早島有希が遺体で発見された。
連続殺人だという事になった。