雨を待ちわびて
「守田君」
「はい」
「ちょっと」
「はい」
手招きされた。
「……守田君、社長がお呼びだ。…君、何かしたのかい直々に呼ばれるなんて…。“余程”の事だと思うよ。すぐ行くように…」
「あ、はい」
そんな言われ方をされても…。思い当たる事なんて無い。
自分では気が付かない間に、何か失礼な事でもしたのだろうか…。直接の関わりなんて無いし…。何だろう。
上階にある社長室に向かおうと、降りて来るエレベーターを待っていた。
チン…。
ドアが開くと受付で見掛ける、確か…川喜多さん、そう、川喜多さんが飛び出して来た。
「あ、ごめんなさい」
「いえ、…大丈夫です」
「貴女…守田、さ、ん?」
「は、い?」
美人で有名な川喜多さんを私が知っている事はあっても、川喜多さんが一般事務員である私を知っているの?
あー、瞬時に社員証を見たのかな。
「…そう。可哀相に…」
「え?」
川喜多さんは足早に去って行った。……今の、何…?
もしかして、川喜多さんも、社長に呼ばれていたのだろうか。そして叱られた…。だから、私に可哀相にって…。
どうしよう…。私も今から叱られるんだ。社長と一対一だろうから。恐〜。…泣かずに耐えられるかな。
チン。
あ、着いてしまった。
ふぅ。…。
コンコンコン。
「はい」
…うわ。社長、居た。
「え、営業課の守田です」
「入りたまえ」
「はい。失礼します」
カチャ…。
カ、チャリ。………え?今の…鍵が、勝手に掛かった?え?用心のため?初めて来たから解らない、そういうモノなんだろうか。
「こちらに、来たまえ」
「あ、はい」
社長…だ。