雨を待ちわびて

片霧さんが繊細でも、花言葉まで本当に考えてしてくれたのかな…。偶然、目に止まった花だったかも知れない。
『これでいいです、これで』みたいな。それこそ、余り見たことがない花だから。…フフ。どんな顔して言ったんだろう。
この花。ピンク色で一つ一つが小さい花、…珍しい。私は、この花、今まで知らなかった。
事務長に名前を教えて貰ったのに、もうそれさえ、うろ覚えになりつつある。カランコエ?だったかな。…カランコエ。
あったからって…偶然では無いのかな。やはり…花言葉から花を選んでくれたって事なのね。

片霧さん…。刑事さんだからきっと忙しいのよね。
暫く会っていない…。
はぁ…会いたいな。
…会いたい。今すぐにでも会いたい…。


コンコン。

「守田さん?入りますよ?花瓶、持って来ましたよ」

「はい。有難うございます」

あ。乳白色と黄色、緑がグラデーションになった綺麗な花瓶だった。

「…いいですね、とても、いい。花と良く合う」

「はい、…とても綺麗ですね」

久遠先生が置いた花瓶に私が花を活けた。真っ白な部屋のそこにだけ明るい差し色が出来た。

「お礼の連絡を入れてみてはどうですか?刑事さんに。
こんな心遣いをしてくれるなんて、ね?」

「そうですね」

でも…。会いたいと伝えてしまいそうで。それは、忙しい片霧さんを困らせてしまいそう。

「…いいえ、やっぱり連絡はしません」

「そうですか」

…。
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