雨を待ちわびて

「…いいところが見え始めているのなら、…どうします?帰ります?
連絡してみますか?
こういうのも、タイミングですよ?機を逃すと難しくなりますよ?」

…。

「久遠さんが迷惑でなければ、今夜はここに居させてください」

「おやおや。どんな答えの導き方をしたのでしょう。
…言わなくてもいいですが」

…意地は厄介ですね。

「俺は構いませんよ」

「では、お願いします」

「はい」

「守田さんは上に寝てください。俺はここに寝ますから。急な事で、シーツはそのままで申し訳無いのですが、抵抗はありませんか?枕はタオルを巻きましょう」

「はい、大丈夫です。逆に、私が使ってしまったら、後、処分しないといけないくらい、潔癖症とかでは無いのですか?」

「それは無いです。潔癖症ではありませんから心配は要りません。
潔癖症なら、お風呂だって使わせませんし、ご飯も一緒に突いたりしないです。人にだって触れられないじゃないですか。
俺は手も繋ぐし、抱きしめたりもしましたよ?」

「そうでしたね」

いや、特定の人は大丈夫とか、潔癖にも色んなタイプの人が居るでしょ?
使った物、触った物、黙って捨てられていたら、ショックですから。一応、確認です。
心療内科の…精神科の先生ですから、神経質で繊細なタイプだったら、潔癖症かも知れないとチラッと思っただけです。

「下って…、何か、寝袋とか、そんな類いの物があるのですか?」

「いいえ」

「何も?」

「何もありません。…が、コートなんかを布団変わりに掛ければ、この時期、何も問題はありません」

…。

「そう言えば、風邪は大丈夫ですか?ゾクゾク、悪寒がするとか無いですか?」

「大丈夫です」

「では、俺はお風呂に入ります。守田さんはどうぞ休んでください。あ、何も無くて退屈でしょうから、興味があれば、好きな本、手に取って見てくださって構いませんよ。まあ、ここにある物は、あまり、お勧めはしませんが。では」

…久遠先生って、いくつなんだろう。
若そうで、若く無いのかな。落ち着いてるし。

「あ、俺は、まだ初老では無いですよ。そこそこオッサンではありますね」

…もう、なんで考えてる事が解るんだろう。じゃあ、オッサンて何歳なの?

「因みに33ですよ」

…なんでまたバレたの?

「顔に書いてますよ」

…え、また?嘘…。

「フ。嘘ですよ。話の流れで、大体、思った事は解るモノです」

…もう嫌。私が単純なんだ。だから読まれるんだ。

「あ、守田さんは純粋なんですよ」

…先生。
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