雨を待ちわびて
「あの…もしかしたら、俺が」「あの…もしかして、久遠さんが」
…。
「あ゙ー、…はぁ…やはり俺ですかね。その…犯人…」
「あの、どの辺りに?」
隠せる場所かしら。
「失礼して。…ここです」
髪を少し除けて、ピンポイントで指先で軽く触れた。
「後れ毛の下の右寄り、といったところです」
「ぁ、…」
触れると同時に洩れた声が色っぽい。
…。
「…私には昨夜の記憶がありません。はっきりした事は言えませんが、…凄く濃い、となると、片霧さんでは無い、と、思います…」
うん、片霧さんでは無い。普段から付けたりしてないから。…多分、だけど。
「ゔー。となると、完全な容疑者は俺…ですね…」
「…多分、はい」
「あ、…申し訳ありません。何の言い訳もできません。この通りです。
したとするなら、抱きしめて、…そのうち、寝ている体勢が変わったりして、…抱き直した時に丁度、首に唇が触れてしまったのだと思います。
それで、多分、…スベスベしているとか、いい匂いがするだとか、柔らかいなとか、無意識に反応したんだと思います。もしかしたら、先に頬とかですりすりしたかも知れません。あー、変態みたいな言い訳だ。言えば言うほど、変態だ。
すみません。本当にすみません。あ、消毒液があります。消毒しますか?」
「…フ、フフ。久遠さん、大丈夫ですよ。そんな、大袈裟な。…思春期に許可無く、ファーストキスを奪われた訳ではないですから。そんなショックな事ではありません。それに消毒なんて、しなくていいです、大丈夫です」
「いや…、しかし…、これは申し訳ない…」
「状況がそうさせたのでしょう?だって、男女で抱き合って寝ていたのですから。フフ。
居ないところで言ったら可哀相なんですが、片霧さんは私の胸、…揉んでしまいましたから」
「え?」
「…雨の中、私は片霧さんに拾って貰って…、意識を飛ばした私をお風呂に入れ、泊めてくれました。私が、倒れる前にお願いしたんです。
お風呂使わせて、身体を洗いたいから、…着替えも貸して、部屋にも泊めてって。
その時、一緒に寝ていて、あ、まだ何も無かったんですよ?それで無意識に…手が触れてしまって、そのせいでだろうって言ってました。
そうなると、男の性だって言ってました」