雨を待ちわびて

「刑事さんに殺されませんかね…」

「そんな…大丈夫です。しばらく会わなければ、そのうち消えますし」

あ、そうなるか。…暫く会わないつもりか。

「あ、珈琲、飲んでください。手を止めさせてしまいましたね」

「はい、頂きます」

「守田さん、今日はどうしますか?どこか行きたいところはありますか?」

「そうですね、不動産屋さんかな」

「え?どうしてです?」

「住むところを探したいのです」

…余計な事は言わない方がいいのか…。

「仕事は?先に勤務先が決まってる方がいいでしょ」

「そうですよね…。だったら、ウィークリーマンションを先に探します」

「そこに住みながらって事ですか?」

「そうですね。なんでもいいんです。でも、どうせなら、小さな会社の事務とか、見つけられるといいのですが。雑用をしたり、電話を取ったりとか。表にあまり出ない仕事がいいです」

んんー、どうやら一人暮らしが希望か。
気持ちは変わらないのかな。このままでいいのか?

「一人で暮らしたいなら、その気持ち、刑事さんにきちんと伝えてはどうです?飛び出したままは良くない。戻って来るって、待ってるはずですよ?」

…。

「取り敢えず、ウィークリーマンションに行こうと思います。
久遠さん、有難うございました。
ごめんなさい、鉢植えはまだ持って帰れませんね。
部屋が決まったら頂きに来ます」

「え?もうですか?一人で行くのですか?」

「はい。宿泊先はすぐ見つかると思いますから」

「侮ってはいけませんよ」

「え?」

「一人で行動して、一人で生活をされるつもりでしょうが」

ま、貴女を待っている人は刑事さんですから。
危なくなったり…壊れそうになったら容赦なく、連れ戻されるでしょうが。
どこで何をしても、きっと簡単に見つけられてしまうでしょうからね。
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