雨を待ちわびて


「目的地まで送りますよ?」

「いいえ、大丈夫です」

「しっかりと、やっていけますか?未だ、昨日の今日だ。心にゆとりが出来ているとは思えませんが。
脅かしている訳ではありません。これは昨夜はっきり解った事です。
刑事さんが居る事で、貴女の悪夢は封じられているのですよ?一人で暮らしたら夢を見ます。多分、貴女の見たく無い夢です。
毎回、毎回、押し潰されないでリセット出来ますか?
…言い過ぎました。
現実は、暮らしてみれば直ぐに解る事です。
今日くらい、未だのんびりしていたらいいと思いますよ。今日は万全では無い」

広い世界に一人、放り出された気になりますよ。
刑事さんの言う、守るということの意味。身に染みて解ると思います。

解った時には、余計、戻り辛くなります。
貴女は守られているんです。それは、決して身体だけの繋がりではありませんよ。

「とにかく、今日は未だうちに居てください。先生としてではなくても、こちらとしても送り出すには不安過ぎます」

…。

「刑事さんに、貴女から、ここに居るという事だけでも連絡してください。俺は誘拐犯になりたく無いですから。このままだと色々と良からぬ容疑が増えそうですから。
トーストとベーコンエッグを作りましょう。食べますよね?俺、お腹空きました」

…。

「…焼くだけですから俺がします。珈琲、お代わりしますか?」

…。

さあ、どう考えるかな。
< 97 / 145 >

この作品をシェア

pagetop