ロストマーブルズ

「ごめん、ジョーイ。私、はしゃぎ過ぎちゃった。ジョーイが普通に私に接してくれて嬉しくて、そんなジョーイが益々好きになっていくし、恋が止まらなかった。私こんな風に恋したことなかったんだ」

「だったらもっと俺に好かれようとか、そう思わないのか」

「もちろんそうなんだけど、ジョーイには私のありのままの姿をみて欲しかったんだ。嘘偽りない自分の姿を」

 詩織の目に溜まっていた涙はそこに留まり切れないと、つーっと頬を伝っていく。

「あのさ、俺、ハンカチとかもってないんだ。だからほら」

 ジョーイは詩織の制服の袖を取ると、彼女の腕も一緒につられて上にあがった。
 そしてそれで拭おうとする。

「ちょっと」

「仕方ないだろ、泣く方が悪いんじゃないか。制服汚したくなかったら泣くな」

 詩織はジョーイの顔をむすっと見つめて、堂々と自分の制服の袖口でワイパーのように一拭きした。
 そして肩が動くくらいの大きな息を吸って吐くと、そこにいつもの笑顔が戻っていた。
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