ロストマーブルズ
「だけど、他の事件は本当に偶然なの。皆、勝手に想像してくれてるみたいだけど、私の方が訳が分からない状態。それにミラ・カールトンって、そんなに有名な人で、本当に私に似ているの?」

「いや、俺も最近知ったんだけど、確かにキノにそっくりだった。というより、本人かと思ったくらいだ」

「それは本当に私じゃないわ。でもそんなに似てるのなら見てみたい。世の中自分とそっくりな人が三人いるっていわれてるもんね」

 愛想程度に適当に答えていたが、似てると言われてもキノはあまり嬉しくなさそうだった。

「それもそうだな。そっくりな奴が三人いるって話はよく聞く話だな。それにミラ・カールトンはキノに瓜二つだけど、肌や目の色が違っていた。落ち着いて考えればやはり偶然に似てたんだろな。俺の方こそ勝手に思い込んで嫌な思いさせてすまなかった」

「ううん、誤解が解けてよかった」

 ジョーイはそれでもまだ半信半疑だった。上手くはぐらかされたようでもあり、まだまだ真相がはっきりと見えてない。

 そこには前日雑誌を持ってきたことも含まれている。
 あれはどう説明すればいいのだろう。

 あの雑誌を手にしたせいで、チンピラに絡まれ、そして前もってその事件が起こることを伝えられて助けに来てくれたリル。

 さらに、あの場所に現れたギー。

 確かに全てが仕組まれたことだと分かっていても、そのことについてはもうこれ以上キノには問い質せそうにもなかった。
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