ロストマーブルズ
 折角謝る覚悟を決めて、力んだ事が無駄に終わってしまい、脱力するも、自分自身がおかしくなって、笑ってしまった。

 力まなくても、素直に謝ればいい。
 自分が悪かったと認めるだけなのだから。

「夕食でも作って待ってみるか」

 ジョーイは台所に入り、冷蔵庫を開けた。
 何が作れるのか考えているうち、母親の苦労を感じていた。
 
「毎日の食事作りも大変だ。母さんも仕事しながら良くやってくれてるもんだ」

 ぶつぶつ独り言を良いながら、夕飯の支度に取り掛かった。

 冷蔵庫が底をついてきて、大したものが作れなかったが、あまり物を寄せ集め形なりに本日の夕飯が出来上がる。

 時計を見れば6時を過ぎていた。

「トニーの奴、どこへ行ったんだ」

 早くすっきりとしたくて、仲直りすることが気がかりでたまらなかった。

 しかし待てども待てどもトニーは帰ってこない。

 時刻は八時を過ぎ、ジョーイの作った夕食もすっかり冷めていた。

 突然電話が鳴り、トニーからだと思い、ジョーイは急いで受話器を取った。
 だが聞こえてきた声にジョーイは顔を歪ませた。
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