ロストマーブルズ
「(ジョーイ、元気か)」

「(ギー、何の用だ)」

「(あのさ、俺の存在とか大豆のこととかもう忘れたのか?)」

「(今はそれどころじゃない)」

「(おい、そうあっさりと返すなよ。まあ所詮お前には難しすぎた問題なんだろう?)」

「(色んな事が身の回りで起こり過ぎて、一度に考えられなくなっただけだ。難しいという前にまだ何も考えてなかっただけだ)」

「(まあ、そうムキにならなくてもいい。それじゃもう一つヒントをやろう。その色んな事だが、全てを辿れば一つになるということだ)」

「(だから一体お前は俺にそんなヒントを与えて何がしたいんだ)」

「(俺は真実を知りたいだけだ。お前の父親が何をやっていたのかってことだ)」
「(俺の父親? どういうことだ)」

「(後は自分で考えな)」

 電話はそこでブツリと切れた。

 どこまでもしつこく付きまとい、曖昧な言葉を残してはもったいぶるギーが鬱陶しいとばかりに、受話器に向かって悪態をついていた。

 しかしそれも無駄なあがきだった。
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