ロストマーブルズ
「今度は父親のことかよ」

 だが、ジョーイはどこか父親のことを考えないように生きてきたために、何をやっていたかと聞かれて何も知らなかった。

 母親のサクラが離婚をした後、子供心ながら父親のことは言ってはいけないと思い込んでいた。
 そしてあの爆発が起こってからは、一層ジョーイは心を閉ざし、辛い想い出から逃れるように極力考えないようにしてきた。

 やがて記憶は曖昧になり、断片的にしか思い出せなくなった。
 その記憶もどこまで正確なのか、それすらはっきりしない。

「ギーの奴、自分の知っている全てのことを俺に話せばいいだけじゃないか。大豆やら父親やら、一体何があるというんだ。俺の父親は豆腐でも作ってたのかよ」

 なんだか苛ついてきてしまった。

 そんなときにトニーが帰ってきた。
 ドアが開いた音を察するとジョーイは玄関に走り寄った。
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