ロストマーブルズ
 サイレンを鳴らし派手にやってきたパトカーによって、家の前には野次馬が集まり出した。

 あの近所の噂好きなおばさんも、誰よりも目立って、覗き込んでいた。

 警察は手順良くテキパキと動いて家の中を捜査し、その間、ジョーイとトニーは質問に答えていた。

 訳の分からないことで脅されて、ギーが狂ってることを強調し、ジョーイ自身なぜ巻き込まれたのか分からないと白を切る。

 ギーが全てを語ったところで日本では全く関係のない事件であり、FBIのトップもきっとこの事件の真相を闇に葬ることをジョーイは良く理解していた。

 自分の知らないところで誰かが処理をする。

 ジョーイ自身、ギーが本国に帰ってくれさえすればそれでよかった。彼もその時、はむかえないほどに処分されることだろう。

 誰にも相手にされないギーがなんだかお気の毒に思えたが、ジョーイを睨みながら足を引きずり警察に連れて行かれる態度を見ると、その同情もすぐに消えた。
< 288 / 320 >

この作品をシェア

pagetop