秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
もうすっかり忘れると自分に言い聞かせても、どこかで引っかかっていた。
終わりにしたつもりだったけど、前に進めないでいた。
伊吹さんの力を借りて、同じコースを平気な顔でたどれたら、本当に全部忘れられるんじゃないかと、思った。
「やっぱり」
こんなことに伊吹さんを巻き込んでしまって、申し訳ない。
彼は純粋に私とデートを楽しみたかったはずなのに。
「ごめんなさい。帰りま、しょう……」
私が頭を下げると、彼は私の手を握る。
「いや、最後までやる。お前の気持ちの整理がそれでつくなら、俺が記憶の上書きをしてやる」
そう。私はまさにその『記憶の上書き』をしようとしていた。
あのときの楽しかった思い出を伊吹さんにすり替えようとしている。