秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「そんなことは……ある、かも」

「やっぱり」


「はーっ」と盛大な溜息をつく彼がおかしくて、思わず笑ってしまった。


ここのいちごタルトは、ほんのり酸味も残っていて、甘いものが苦手な男の人でもおいしく食べられる逸品だ。
もちろん、甘いものが好きな人にも。


「どうですか?」

「うまいな」

「よかった」


彼がパクパク食べてくれて、うれしかった。

ゆっくりゆっくり、傷が癒やされていく。


「今日はありがとうございました」


一旦ふたりで家に帰ると、彼を見送りに出た。
彼は明日、朝イチで社長を迎えに行かなければならない。


「あぁ。ホントは一緒にいてやりたいけど」

「もう十分です。それに、スーツまで買っていただいて……」

「気にするな」


ずいぶん高い物だったけど、その分きちんと働いて返したい。
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