秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「それに、あれは本気だから」


あれって?
あっ……もしかして『未来の嫁』と言ったこと?

ハッとして彼を見上げると、珍しく目を逸らす。
だけど……。


「また明日からしごくから覚悟しておけ」


照れ隠しなのか、そう口にした。
それでこそ彼だけど……。


「それじゃあ、今日はぐっすり寝ろ」


彼は私の頭をクシャッと撫でて車に乗り込み、去っていった。


ここ数日、天気が悪くて曇りがちだった空は、今日は晴れ渡っていて、オレンジ色の夕日が私を照らす。
それが私の前途を示しているような気がして、なんだか少しうれしかった。

風邪を引いてから、いろいろありすぎて頭が混乱しているけれど、伊吹さんと過ごした時間は、私に未来を見せてくれた。
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