秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

私は一番うしろからついていく。

懐かしい会社。
あの頃となにひとつ変わっていない。

取締役室に案内されると、私たちは頭を下げた。


「本日はお時間を取っていただきまして、ありがとうございます」


聡さんが常務と名刺交換をしているのをじっと見ていると、常務の左手のカフリンクスが取れているのを見つけた。


「広瀬がずっとお世話になっていたようで」

「そうですね。彼女はよく働いてくれました」

「恐縮です」


ふたりの会話に私の名前が出て慌てて頭を下げる。


「あの……常務。カフスは……」

「さっき気がついたんだが、どうやら落としてしまったようで。さっき出先から戻ってきたときはあったんだけどね」

「そうでしたか」
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